かな作品の連綿には、様々なパターンがあります。
今回は、比較的に静かな連綿をまとめます。
連綿があることで作品の表情が変わり、書き手によって変化できるので便利な表現方法です。
今回は、「静かな連綿」をまとめました。
①転折・・・急に方向がかわること
②省略・・・文字の省略
③短縮・・・上の文字と下の文字の1画を共同にしている
④間を包む・・・実際は上下の文字がつながっていない
⑤はなち書き・・・これも同じく上下の文字がつながっていない
様々な連綿があることで、実際の作品づくりも表現の幅を増やすことができます!!
転折
急に方向が変わることを転折といいます。下の図は、Bの箇所で、急に方向が変わります。
「はてし」や「せや」を見ると、Bで一度止めています。
「せや」は、しっかり止めてから、横方向に進んでいます。
このBの箇所で一呼吸入れて、次へと動き出しています。
Bの転折で新しい弾力を生み出し、横方向へと筆が進みます。
Aは、長い息(連綿中の上の文字の終筆から始筆)を表しています。
左側の2文字「はる」「なつ」
「はる」のむすびは、深く差込み弾力を作っていますが、「なつ」のむすびは転折から大きく放り上げて書いています。それにより華やかな表情が生まれます。
省略
かなの省略は、一字一字を簡単な文字にするだけでなく、連綿する動きのなかで画が少なくなることです。
「たりし」は、線の数が少なく、「をし」は、「を」の終画を極度に省略して「し」へ移ります。
「おもふこと」も文字を一つ一つの単体で見た姿より、省略し、次へすすむことを主眼においています。しかも連綿する線は、文字を書くと同じようにしっかりとさせます。
短縮
省略が進行すると、2字が一字のように短縮され、一部分が2画の役目のようになります。
その様子を、仮借連綿と言います。
Aの部分は、二字のなかで共同で使っている部分、仮借連綿です^^
行の中で、間を詰めたい時に使うことが多い傾向があります。
間をつつむ
二つの文字の懐(ふところ)が通い合って、二字が一つの庭をつくるように間をつつんでみえませんか? 線も向かい合って、文字の間をさらに広げています。
黄色で書いた線が、向き合うようなリズムがあります。これが連綿??となりますが、文字が続いているように間をもって表現しています。
はなち書き
連綿ですが、その線が表面から沈んでいるような時は、
「はなち書き」といいます。当然連綿できうる位置であるのに、はなち書きをすることで静かになり骨格と広さを感じます。
「④間をつつむ」と共に、はなち書きは、おおきな上下動の運筆が自然につくりだします。
補足
連綿の5パターンを書いてみました。
筆の使い方と思って、上の写真を見ながら書いてみると良いですね。
手本があると、どうしても字の形を寄せることに気持ちが向きますが、今回は連綿の道すじを追うように書いてみると、筆使いがわかると思います。
次回は「動く連綿」予定です。^^
コメント
なんて瑞々しい、生き生きとした線なのでしょう!「線が好き」とおっしゃる気持ち、とてもよく分かります。私も子供の頃にお習字教室に通っていましたが、先生の筆の先から描かれる線の美しさにいつも憧れていたことを思い出しまし、また書道を始めてみようと思いました。いつの日か指導される日が来ましたら、是非お願いしたいと思います。
コメントありがとうございます^^
お習字の教室通われていたんですね!お稽古で先生の筆の動きを見ていると、魅了されますよね。
自分の教室を持ってみたいと思いながら、日々、稽古に励んでいます。お言葉、励みになります。
ありがとうございます。